おい、そこの君。「いつかはS2000に乗りたい」などと甘い夢を見ていないか?
悪いことは言わない、その夢は今すぐ窓から投げ捨てろ。
現在、日本国内の中古車市場で起きているS2000の価格高騰は、もはや「趣味」ではなく「狂気」の領域なのだ。
今回は、最新の相場データを調べ尽くした私が、その残酷すぎる現実を突きつけてやろう。

AP1ですら底値200万円オーバーという絶望(新車の2.6倍の個体も!?)
3月15日現在でグーネットを元に出してみたぞ。些細な間違いなどあるかもしれんが許してほしい。
現在の流通台数は全体でわずか約153台。
平均価格はAP1で「約428万円」、AP2に至っては「約595万円」だ。
1999年の初期型新車価格は「約338万円」。それを現在の最高値である「881万円」と比較してみろ。なんと当時の約2.6倍である。
当時の338万円を現在の物価価値(約370万円)に換算したとしても、そのプレミアムっぷりは完全に常軌を逸している。
- AP1(2.0Lモデル)の現状
- 流通台数:136台
- 最高値:881.0万円(2000年式 / 走行3000kmの奇跡の個体)
- 最低値:184.8万円
- AP2(2.2Lモデル)の現状
- 流通台数:61台
- 最高値:870.0万円(2008年式 Type S)
- 最低値:343.0万円

もっと残酷な事実を教えてやろう。
「15万km超えで、しかも修復歴のあるボロボロの個体なら安く買えるはず」
そう思っていた時期が私にもあった。だが、カーセンサーの下限を這いずり回って見つけた底値の現実はこれだ。
「2000年式 AP1 / 21.6万km / 修復歴あり → 本体価格 218万円」
何かしらの事故歴があり、地球を5周以上走破した20年以上前の車が、新車の軽自動車より高いのだ。これが今のJDMスポーツカー市場のリアルである。
恐らくここから修理箇所がかなりあると想定される。とてもじゃないがおいそれと手が出せるようなものじゃない。初心者にはとても俺はオススメできない。

北米の狂乱「2億…いや、20万ドル事件」を知っているか?
国内の相場など、世界から見ればまだ「かわいいもの」だ。
アメリカのオークションサイト「Bring a Trailer」での過去最高落札額を教えてやろう。
2022年4月、走行わずか123マイル(約200km)の2009年式 AP2 S2000 CR。
落札価格は、20万ドル(当時のレートで約2,600万円以上)だ!!
フェラーリか何かと間違えているのだろうか。もはや完全に金銭感覚がバグっているバイヤーたちの遊び場なのだ。

絶望のカウントダウン:AP2の「25年ルール」解禁は2029年
そして、我々にトドメを刺すのがアメリカの「25年ルール」だ。
先日投稿した記事にもあるが25年と35年が大きな節目となる。
生産から25年経過しないとアメリカに輸入できない規制だが、AP2(2004年〜)が本格的に解禁されるのは2029年からだ。
今はまだAP1の初期モデルが流出している段階だが、2029年以降はどうなるか?
ただでさえ日本国内に17台しか残っていないAP2が、狂った資金力を持つ海外バイヤーによって次々とアメリカへ連れ去られるのだ。国内の在庫は干上がり、価格は今の1.5倍、いや2倍になるかもしれない。
今回の調査から考える事
かくして、私はS2000の相場を徹底的に調べ上げ、電卓を叩きまくった結果、ある真実に辿り着いた。
本当は金の無い若者こそ中古で安く買って車を楽しむべきなのにこんなのじゃ金を無駄に持っているオッサンしか買えないじゃないか・・・なんて悲しい現実だ。
9,000回転の咆哮も、カミソリのようなハンドリングも、かつてはバイト代を注ぎ込めば手の届く「青春の特権」だった。だが今はどうだ? 画面に並ぶ数字は、若者の情熱をあざ笑うかのように高騰し、もはや一般庶民のファミリーカーすら凌駕している。
ロジカルに分析すれば、需要と供給のバランスが崩れ、海外投資家が札束で殴り合っている現状において、この価格は「正解」なのかもしれない。だが、感情がそれを認めない。
「車は、飾るものではない。走らせるものだ」
この単純な真理が、札束の前に色褪せていく。 金を無駄に持っているオッサン(失礼)が、ガレージの肥やしにするために買う車。それがS2000の「現在地」だというのなら、これほど虚しいバグ報告はない。
ノロウイルスで4kg痩せ、フラフラになりながらも私がS2000のキーを握り続ける理由。それは、この車が「ただの資産」に成り下がることに抗う、最後の抵抗なのかもしれない。
「売らぬ俺と、買う奴の、終わらない心中。」
バグった相場を横目に、私は今日も、老兵(AP1)と共にVTECの向こう側へと駆け抜ける。 若者たちよ、すまない。だが、この絶望的な現実も含めて、私はS2000という「狂気」を愛さざるを得ないのだ。なのだ。






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