【背徳】俺がS2000を降りる日。次期愛車候補「エリーゼ最終型」と「GRヤリス後期」をガチ査定する!

名古屋の夜景を背景に、ヘッドライトを点灯させて佇む黄色いS2000 AP1

「35年心中」を誓ったはずの私が、夜な夜な中古車サイトと新車カタログを血眼で睨みつけている。

ノロウイルスで4kg痩せ、愛車はバッテリー上がりで沈黙。そんな「空白の時間」が、私のロジカルな脳髄にふと、ある禁断のシミュレーションを走らせてしまったのだ。

「もし明日、S2000が修復不能な状態になったら、俺は次、何に乗るのか?」

私の好みは極めてハッキリしている。基本的には、パッと見で「あ、こいつはスポーツカーだな」と認識できる、低く構えた2ドアのシルエットが好きだ。実用性などという軟弱な言葉は、私の辞書にはない。

そんな私が、数多ある現代のクルマの中から、独自の調査を重ねた結果、S2000の代わりになり得る(かもしれない)「2つの極致」へと辿り着いた。

一方は、S2000のアナログな狂気をさらに煮詰めた英国の毒蛇。 もう一方は、私の見た目の好みからは外れるが、日本の大企業がWRCの狂気をそのまま市販化した突然変異だ。

今回は、S2000オーナーという「最も厄介な物差し」を使って、この2台をロジカルに、かつ徹底的に査定してやろう。

結構ネットで調べたが間違っていたらすみません・・・


■ 刺客その1:ロータス・エリーゼ・ファイナルエディション

出展:エルシーアイ株式会社

まず1台目。私の「見た目からしてスポーツカー」という欲求を、120%の純度で満たしてくれるのがこれだ。1996年から四半世紀続いたロータスの集大成、「エリーゼ・ファイナルエディション」である。

昔からエリーゼとS2000は何かと比較されることはあったかと思う。しかし根本が全然違う車だ。

S2000に乗っていると、現代のクルマがいかに「重い」かを痛感する。だが、このエリーゼの前では、1,200kg台のS2000すら「鈍重なミニバン」に見えてしまう。

なにせ、車両重量はたったの922kgだ。

「Simplify, then add lightness(簡素化し、軽さを加えよ)」。創設者コーリン・チャップマンの呪いとも言えるこの哲学は、最終型でも全くブレていない。航空機用の強力な接着剤で組み上げられた「アルミニウム・バスタブフレーム」は、溶接の熱歪みを持たず、極めて高い剛性を誇る。

そこに積まれるのは、トヨタ製の1.8L直列4気筒「2ZR-FE」にスーパーチャージャーをぶち込んだ心臓だ。最高出力243ps。パワーウェイトレシオは驚異の3.79kg/ps。920kgの車体に240馬力オーバーなんて、物理法則を舐めているとしか思えない。

出展:エルシーアイ株式会社
出展:エルシーアイ株式会社

私が惹かれるのは、無駄な装備が一切なく、電子制御が最低限であることだ。 ファイナルエディションになって、メーターこそ「TFTデジタルダッシュボード」という現代の化粧を施されたが、走りの本質は狂ったままだ。

重いステアリングにはパワーアシストなどという甘えはなく、路面の石ころ一つを踏んだ感触まで掌に伝わってくる。ブレーキに至ってはサーボ(倍力装置)すら付いていない。ドライバーの踏力が、そのまま制動力になる。

「お前の腕がすべてだ。ごまかしは一切利かないぞ」

クルマからそう凄まれているようなダイレクト感。これこそが、S2000乗りが最も求めてやまない「機械との対話」の究極形なのだ。

残念ながらS2000と同じく製造中止によりコレクターズアイテムとなり新車価格よりも高く相場は900万から1200万と完全にバグっているが、「内燃機関の極致」として、これ以上の選択肢はない。


■ 刺客その2:トヨタ 進化型GRヤリス(後期型 RZ High performance)

出展:トヨタ自動車

そして2台目。正直に言おう。「2ドアの見た目からしてスポーツカー」という私の大原則からは完全に外れている。ハッチバックベースのずんぐりしたシルエットだ。

しかし、トヨタの「入れ込みよう」と、中身のバグり具合が、私のロジックを強引にねじ伏せてきた。それが「GRヤリス(後期型)」だ。

このクルマ、前期型が出た時に一度乗ったことがある。走りはキビキビして面白かったが、決定的な欠陥があった。シート位置が高すぎて、私の身長(181cm)だとルーフに頭が当たりそうだったのだ。「視界も悪いし、ドライビングポジションが決まらないスポーツカーなど論外だ」と、当時は一刀両断した。

だが、トヨタは恐ろしいメーカーだ。モータースポーツの現場で「壊しては直す」を繰り返し、2024年のマイナーチェンジ(後期型)で、クルマの骨格からすべてを作り直してきた。

出展:トヨタ自動車

私が最も驚き、そして評価したのはここだ。 後期型は、操作パネルをドライバー側に15度傾け、なんとドライビングポジションを25mmも下げてきたのだ。さらにセンタークラスター上端を50mm下げ、インナーミラーの位置まで上に移動させた。

たかが数センチと思うかもしれない。だが、この数センチのためにメーカーが金と時間をかけ、「ドライバーの姿勢」を徹底的に改善してきたという事実。これが、年次改良を怠らないトヨタの本気であり、購入者にとって最大の安心感に繋がる。

そして心臓部である1.6L直列3気筒ターボは、前期の272PSから304PS / 400Nmへと暴力的な進化を遂げている。エリーゼとは対照的に電子制御の塊(GR-FOUR)だが、シャシーのスポット溶接を増やし、構造用接着剤を24%も拡大して剛性をガチガチに固めたボディが、この狂ったパワーを路面に叩きつける。

極めつけは、新開発の8速AT「GR-DAT」だ。ドライバーのブレーキやアクセル操作をミリ秒単位で感知し、挙動が変わる前に「予測変速」をするという。もはやATの概念すら覆す、全天候型のスピードマシン。小さなボディでキビキビ走る圧倒的なポテンシャルに、私は強烈な嫉妬すら覚えている。各メディアでもこの「GR-DAT」は絶賛されている。MT派の私でもこの評価は素直に喜ばしい。


■ 結論:S2000の代わりは務まるのか?

究極のアナログで、ドライバーを試練にかける「エリーゼ・ファイナルエディション」。 究極のデジタルで、プロの走りを万人に解放する「進化型GRヤリス」。

どちらも、内燃機関という歴史の最終ページに刻まれるべき、圧倒的な名車だ。S2000を降りたとしても、この2台のどちらかがガレージにあれば、私の自動車人生は間違いなく豊かで、刺激に満ちたものになるだろう。

だが今回の調査を終え、この長大なレポートを書き終えた今、私の心にあるのは不思議な安堵感だ。

極限まで削ぎ落とされたエリーゼの凄みを知り、最新技術の塊であるGRヤリスの進化に震えた。だからこそ、その中間に位置し、古いけれど自分の手の内にある「S2000」という存在が、たまらなく愛おしく思えてきたのだ。

浮気を本気で検討したからこそ分かる、本妻の魅力。 かくして私は、再び死にかけのバッテリーと向き合うべく愛車を眺める。

「世界には恐ろしいクルマがたくさんある。だが、俺にはお前(S2000)でまだ十分だ。」

この記事を書いた人

製薬会社で論理(ロジカル)を武器に生き残る中年サラリーマン。だが、一歩会社を出れば、絶滅危惧種のオープン2シーター「S2000」を愛でるただの変態である。

20年以上の付き合いになる相棒の維持費に悲鳴を上げ、三井ダイレクトには門前払いされ、夏は家族から「走るサウナ」と罵られる日々。それでもVTECが弾ける瞬間、すべての苦労は「至高の悦び」へと昇華するのだ。

このブログでは、そんな「愛」と「工夫」で名車と心中する男のリアルな軌跡を、嘘偽りなく書き綴る。

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