「25年経てば、アメリカへ高く売れる」 そんな浮ついた言葉が、JDM界隈を席巻して久しい。私のS2000(AP1)も、ついにその「25年ルール」の射程圏内に入った。だが、私はあえて言いたい。「25年ルールで浮かれている奴は、まだ素人だ」と。
結論から言おう。私たちが今、真に直面しているのは、25年目の開放(輸出)ではない。その先にある「35年という名の絶対的断絶」なのだ。
■ 25年ルールの「終焉」:もはや希少価値ではない
かつて、R32 GT-Rが25年経った時は「革命」だった。だが、2026年現在の市場はどうだ? S2000、R34、シルビアS15。かつての名車たちが続々と解禁され、アメリカの港は日本車で溢れかえっている。もはや「25年経ったから価値が跳ね上がる」というボーナスタイムは終わりを迎えつつある。
ロジカルに考えれば、供給が増えれば価格は安定する。ましてや、2026年からのカリフォルニア州をはじめとする米国の厳格な環境規制(ACCII)は、ガソリン車を「過去の遺物」へと追いやろうとしているのだ。単に25年経っただけのボロい個体は、やがて巨大な維持費と規制の波に飲まれて消えていく。
■ 35年ルールという「聖域」への招待状
では、真の勝者は誰か? それは「35年」を耐え抜いた者だ。 アメリカには、製造から25年で「輸入」が解禁されるルールの他に、多くの州で「35年(または製造から30〜35年程度)」で『アンティーク・カー(クラシックカー)』として認められる制度がある。
この「35年」の壁を超えた時、車はただの「中古スポーツカー」から、法規制や排ガス検査を免除される「走る文化遺産」へと昇格する。 2026年の今、S2000オーナーが目指すべきは、目先の25年目での売却ではない。あと10年耐え抜き、この「35年の聖域」に愛車を叩き込むことにあるのだ。
■ 「心中」を決めた男のロジック
ノロウイルスで4kg痩せ、フラフラになりながらも私がS2000のキーを握り続ける理由。それは、この車を「35年目の栄光」まで連れていくためだ。
2026年現在、ガソリン車への風当たりは強烈だ。「カーボンニュートラル」という名の大義名分が、私たちのVTECサウンドをかき消そうとしている。だが、あと10年だ。あと10年維持すれば、S2000は「環境汚染の元凶」から「保存すべき芸術品」へと、社会的な立ち位置を180度変える。
その時、世界は気づくはずだ。 9,000回転まで回るエンジン、カミソリのようなハンドリング、そして「2026年にノロに罹りながらも、フルバケットシートに座り続けた変態オーナー」がいたという事実に。
■ 結論:2035年まで、俺は回し続ける
「高く売れるから維持する」なんていう投資家気取りの理屈は、トイレに流してしまえ。 私が提唱するのは、「35年完遂ロジック」だ。 たとえパーツが廃盤になろうとも、ホンダのヘリテージ事業を使い倒し、あるいは海外のレストモッド技術をハックしてでも、私は2035年のゲートを潜る。
その時、私の隣にいるのは、投資で儲けた札束ではない。 共に35年を生き抜いた、油臭くて、最高に愛おしいS2000なのだ。
「25年で売る奴は、ただの客。35年乗る奴が、真のオーナーなのだ」





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