世界中がS2000に恋をしていた。四半世紀前のCMから読み解く、ホンダが放った『狂気』の正体

ホンダS2000の造形美を世界各国のCMから解析するブログ記事のアイキャッチ

YouTubeというタイムマシンを使えば、当時の空気が吸える。日本、北米、そして欧州。世界中のCMを並べてみたが、そこには現代の車が失ってしまった『潔すぎるパッション』が溢れていたんだ。

今回は30年近く前のCMで若い人はおろか俺みたいなおっさんでもなかなか見たことがないであろうCMをご紹介しよう。

■Do you have a HONDA?

日本でS2000が発売されるときのCMだ。

いいか、よく聞け。アラフォー以上(もちろん私もだ)のホンダファンにとって、このCMは単なる広告じゃない。それは「青春そのもの」なのだ。

今回紹介するのは、ザ・ハイロウズの名曲に乗せてS2000が駆け抜ける、あの伝説のCMだ。

映像が始まった瞬間、あの軽快な「シャラララ〜」という歌声が聞こえてくる。それだけで胸が熱くなるのは私だけか? いや、全ホンダファンがそうに違いない。

このCMの何が凄いって、S2000を「速さの象徴」としてだけでなく、「どこか遠くへ連れて行ってくれる魔法の絨毯」のように描いている点だ。砂煙を巻き上げながら、ただ純粋に走ることを楽しむ。そこには「スペック」や「タイム」なんて言葉は一切存在しない。あるのは「自由」だけだ。

■赤いボタンの先に待つ「250馬力の咆哮」

これは北米?のCMだろうか。ヘッドライトのリフレクターがオレンジなので恐らくアメリカだと思われる。

このCMの構成がまたニクい。映像は、世界を動かしてきた様々な「ボタン」のカットから始まる。

タイプライターのキー、女性参政権を勝ち取った際の記章、テレビの電源……。どれもが歴史を動かし、人々の生活を変えてきた「トリガー(引き金)」だ。

そしてナレーションはこう告げる。 「Amazing things can happen when you push the right buttons(正しいボタンを押せば、素晴らしいことが起こる)」

……おいおい、鳥肌が立ってきたじゃないか。

しかもかなりぶん回してやがる。

アメリカンな感じをCMで出すなんて日本じゃ考えられないな。

■S2000 typeS プロモーション映像

S2000はホンダのスポーツモデル最高峰であるtypeRを最後まで冠する事はなかったが、販売末期にはtypeSという空力に全力を注いだモデルが登場した。

これは素直にかっこいい。

誰もしもが認めるかっこよさだ。

俺からはあえてコメントは控えるから自分の目で是非見てくれ。

・・・・

さて、こうして世界各国のCMを振り返ってみて、改めて確信した。S2000というクルマは、どの国で、どんなふうに切り取られても、その「美しさの芯」が全くブレないのだ。

日本でエンジン音に酔いしれようが、アメリカの空の下でオープンにしようが、ヨーロッパの石畳に佇ませようが、そこにあるのは「走るためだけに削ぎ落とされた、究極の機能美」。これこそが、2026年の今、ムキムキになった最新スポーツカーたちが喉から手が出るほど欲しがっている「何か」なのだ。

ホンダが、あの時代に、あのパッションで作り上げた奇跡。我々は今、その恩恵を預かっている……。

……なんて、あまりにも感動しすぎて、思わず涙を拭いながらガレージに向かったのだが。

当時のCMの若者になりきって、「シャラララ〜♪」とハイロウズを口ずさみながら颯爽と乗り込もうとした瞬間。

バキッ。

……いや、車じゃない。私の膝だ。

あまりに車高が低すぎて、勢いよく曲げた私の膝関節が、1999年製VTECエンジン顔負けの鋭い音を奏でてしまったのだ。

S2000のデザインは四半世紀経っても色褪せないが、私の膝はたった25年で致命的なガタが来ていたらしい。

ホンダのエンジニア諸君、次期型を出すなら、ぜひ「おっさんの膝に優しい乗降モード」もロジカルに検討してくれ。頼むぞ、マジで

この記事を書いた人

製薬会社で論理(ロジカル)を武器に生き残る中年サラリーマン。だが、一歩会社を出れば、絶滅危惧種のオープン2シーター「S2000」を愛でるただの変態である。

20年以上の付き合いになる相棒の維持費に悲鳴を上げ、三井ダイレクトには門前払いされ、夏は家族から「走るサウナ」と罵られる日々。それでもVTECが弾ける瞬間、すべての苦労は「至高の悦び」へと昇華するのだ。

このブログでは、そんな「愛」と「工夫」で名車と心中する男のリアルな軌跡を、嘘偽りなく書き綴る。

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