プライムデーの先行セールが始まったらしいな。世間様が「何を買おうか」と血眼になってAmazonの画面をスクロールしている中、俺の狙いはいたって地味、かつ硬派だ。「ガソリン添加剤」。

「そんなモン入れて本当に意味あんのかよ?」……ああ聞こえるね、否定的な声が。だがな、そういう輩に限って、愛車が調子を崩した瞬間に「こんなはずじゃなかった」と嘆くのがオチだ。11万キロを超えた俺のS2000を、この先も永く乗り続けるためには、やれることはやっておく。この「備えあれば憂いなし」の精神こそ、長く付き合うための大人の嗜みというものだ。
今回のターゲットは「シュアラスターのループ パワーショット」。
俺のS2000は10万キロのタイミングで、わざわざエンジンのオーバーホールを施している。いわば心臓部はリフレッシュ済み。そこにこの添加剤をぶち込み、燃焼室に溜まりがちなカーボンやスラッジを根こそぎ洗浄してやるわけだ。「で、結局パワーは上がったのか?」なんて野暮なことは聞くな。毎回劇的な変化を感じるような代物なら、とっくに魔法として世界中で売られている。これは「俺の愛車への祈り」であり、立派な「予防整備」なのだ。調子が悪くなってから直すんじゃなく、悪くならないように維持する。これこそがS2000乗りとしての矜持というものなのだ。
そしてもう一つ。こちらはAmazonのプライムデーの喧騒をよそに、定価で堂々と鎮座していた「染めQ」だ。これで俺のS2000の幌を、二度目の塗装に持ち込む。

詳細はまた別記事で書くつもりだが、今回ばかりは笑い事じゃない。以前までは雨風を完全にシャットアウトできる恵まれた地下駐車場に鎮座していた俺の愛車だが、引っ越し(駐車場所の変更)によって環境が一変した。雨風は容赦なく叩きつけ、紫外線も「これでもか」とばかりに降り注ぐ。おまけに人通りもあって、世間の目も気になり始めた。この過酷な条件下で幌を放置するなど、愛車に対する冒涜に等しい。
前回、塗装をした時のあの地獄のような作業を思い出すと、正直今から夜も眠れないほどの悪夢がよみがえる。だが、大切なS2000が劣化していくのを指をくわえて見ているわけにはいかないのだ。

……というわけで、俺の夏は「添加剤でエンジンを労り、染めQで幌を武装する」という、あまりにストイックな戦いになりそうだ。セール会場の華やかなトップページを横目に、俺は黙々とポチるボタンを押したのさ。




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